労災保険の内容と仕組みのまとめ

労災保険は労働者を守る基本的な保険制度

動物のかぶり物をした男女4人が屋外の幅広い階段で並んでいる

この労災保険、私たちが社会で安心して働くためにとても大切な制度です。どんな会社でも労災だけは加入している筈です。

誰もが自動車を所有する場合は必ず任意保険に加入すると思いますが、そもそも車には自賠責保険というものが存在し、加入が義務付けられていますよね。

ご自分で支払った記憶がなくても大丈夫。車検の時に法定費用として車検代と一緒に支払われています。

会社勤めで働く際、車でいうところの自賠責保険に相当するのが、労災保険です。傷害保険などにご自分で加入しなくとも補償の準備はされている訳です。

 

労災という言葉はほとんどの方が聞いたことがあると思いますが、実際に使ったことがあるという方はめったにいないでしょう。

そんな労災保険制度のことを少し知っておきましょう。

 

労災保険とは

事業者に雇用されて働く場合、誰もが必ず加入するのが労災保険です。雇用形態も労働時間も給与も関係ありません(個人の農業、水産業など一部例外あり)。

正社員も、パート・アルバイトも契約社員も、外国人労働者も、誰であろうと雇われて賃金をもらうなら加入が必須です。派遣社員は派遣会社の方で加入します。

 

入社した初日から加入していることになり、事業主の義務なので、加入していない日は存在しないのが労災保険です。

つまり、会社で出勤する時は初日から必ず労災には入っているということになるので、通勤中も業務中も、事故やケガなど最低限の補償はされているという事で安心です。

 

誰が支払うの?

机の上に置かれたお金と電卓とメモ帳

労災保険の保険料は、全額事業主負担です。

雇用されている従業員は1円もお金を出す必要はありません。もちろん給与から天引きなどもされません。そもそも出すのが事業主側ということです。

 

会社が手続きしていなかったら

真っ黒の中に少し白いモヤがかかった画像

事業主が労災保険の手続きを行っておらず、その間にもし労災事故が発生した場合はどうなるのか、気になりますよね。

その場合、定められた保険給付額があるのですが、その100%または40%を会社が負担しなければならない決まりです。

労災事故には健康保険が使えません。

ということは、医療費の全額が自己負担になります。もし労災保険に未加入だったら、医療費の全額の100%または40%を会社が負担することになります。

仮に、障害者となるような事故が起きてしまった場合、補償が一生涯に渡る可能性もあり、そうなると非常に大きな金額です。会社にとってもそのような負担を背負うのは非常に厳しい状態ですから、会社は必ず入る筈です。入ってなかったら会社がかなりまずいので、労災関係のことは厳しく管理されているのが普通です。

労災保険のあらましはこんな感じです。だいたいおわかり頂けましたでしょうか。

 

労災保険に入れない人もいる

格子のフェンスのアップ

雇用されている人は全員入ることが事業主に義務付けられているのが労災保険です。にもかかわらず、ある特定の人たちは入る事が出来ないんです。

  • 家族従事者
  • 事業主
  • 個人事業主

この人たちです。

労災保険について、厚生労働省ではこう説明されています。

日本国内で労働者として事業主に雇用され賃金を受けている方を対象としています。そのため、事業主・自営業主・家族従業者など労働者以外の方は労災保険の対象にならず、業務により負傷した場合などでも労災保険給付を受けることは出来ません。

 

家族従事者、事業主、個人事業主は労災保険に入れないんですね。事業主とはつまりは社長のことです。

 

家族従事者について

家族従事者というのは、事業主と同居していて、生計を一(いつ)にする者のことを言います。つまり、同じ家に住んでいて、生計も1つだよという事です。

これに当てはまる人を働かせていたとしても、労災保険の適用外ですよということになっています。

 

ただし、同居していない場合はOKです。

また、同居していても、要件を満たせばOK。

その要件とは、

  1. 同居の家族以外に一般従事者がいる。
  2. 労働時間など就労形態が他の従業員と同じで、給与も就労の実態に基づいて支払われている事。
  3. 事業主の指揮命令に沿って仕事をしていて、それが明らかである

 

つまり、「全く特別扱いされずに他の一般的な従業員とちゃんと同じ扱い受けてますよ」という場合なら、労働者とみなして労災保険に入れますということですね。

 

では、事業主(社長)と個人事業主の場合についてのお話を続けます。

 

社長と個人事業主は労災保険に入れない

そうなんです。事業主(社長)と個人事業主は労災保険に入れないんです。

個人事業主や会社の社長は労災の適用外です。しかも、公的健康保険も使えないんです。健康保険はプライベートでの出来事が適用範囲で、労災の範囲のものは適用されないんです。つまりは全額自己負担。

ということは大変、業務中や通勤中にケガや病気になっても、使える保険がなくて全額自己負担になっちゃいます。ちょっとのケガならまだ良いですが、入院や手術が必要だったり、長期の治療が必要だった場合、大変なことになります。

しかし、手があるんです。それは、労災保険特別加入制度です。

 

労災保険特別加入制度

労災保険特別加入制度とは、厚生労働省で以下の様に定められています。

労働者以外の方のうち、業務の実態や、災害の発生状況からみて、労働者に準じて保護することがふさわしいと見なされる人に、一定の要件の下に労災保険に特別に加入することを認めている制度です。

 

これは社長や個人事業主も労災に入れる制度です。厚生労働省が管轄しています。

国の制度なので、保険料は他のどの保険よりも安いんです。民間の傷害保険などに加入する手もありますが、労災保険特別加入制度を利用するのが一番お得です。

これも要件があります。

  • 中小企業の事業主
  • 建設事業などの自営業者

これらの方々は、事業主であっても、中小企業などでは社長自らが従業員として同じように労働しているケースも多いでしょう。そういう場合は、業務の実態は他の一般労働者と変わらないので、同じように労災保険を適用しますよ、ということなんです。

建設現場では、内装業や水道配管業、大工さん、園芸業など、従業員を雇わず一人で事業を行っている方もいます。この場合は事業主でありながら、間違いなく一労働者でもありますよね。

 

実際の加入は、労働保険事務の処理を労働保険事務組合に委託することが必要です。

これをしないと労災保険特別加入は出来ない決まりです。

労働保険事務組合は、地域ごとに存在し、多くは地域の労働局が担っています。

実際に加入を検討したいなどで、相談する場所がわからない場合は、自治体に相談すれば労働保険事務組合を紹介してくれるでしょう。

 

まとめ

労災保険がどういう物かおわかり頂けましたでしょうか。

入っていないと非常に怖いものであり、とても重要な制度だということがご理解頂けたと思います。

日本の社会保障制度は低いと言われます。

確かに、デンマークなどの社会保障先進国に比べると高いとは言えないですが、最低限のレベルは広く保障されている気がします。デンマークなどはその分税金が高いですからね(50%近い)。

税制や公共の制度などはなるべく全て理解し、まんべんなく上手に活用し、可能な限り自費の出費を減らして節約していきたいものです。

今後も随時このような記事を増やしていきますので、どうぞお付き合いください。

 

参考:

厚生労働省 労災保険への特別加入

厚生労働省 FAQ 特別加入制度とは何ですか。