少額訴訟で戦おう。賃貸アパートの原状回復でもめた場合の対処法

過剰要求・不当な請求は拒否しよう

「No!」という吹き出しとともに突き出されたスーツ姿の男性の人差し指のモノクロ画像

  • 入居時からあったキズなのに自分が退去する時に請求された
  • はじめからあった変色なのに退去時に請求された
  • 敷金が返ってこない

などは明らかに不当な要求です。管理不動産屋が確認する事になりますが、間違いであったとしても確認不足で職務怠慢、または重大なミスです。

こんなものを簡単に泣き寝入りする必要はありません。

入居時からあったキズや破損、汚れなどは、前の住人が退去する時には何も請求しなかったクセに、自分が退去する時には請求してくるなんて不平等もいいとこです。

まずは「これは入居時からあったものなので私の責任ではありません。」と指摘しましょう。

それで応じないならば、安い金額で訴訟を起こせる少額訴訟という手があります。

少額訴訟は賃貸物件退去時の不当請求以外にも以下のようなケースに便利です。

  • 敷金が返還されない
  • 売買代金が払われない
  • 給料支払い請求
  • 損害賠償

少額訴訟が活躍するケースを以下の記事にまとめています。

 

少額訴訟のメリット・デメリット

簡易裁判所の裁判官席の風景

少額訴訟60万円以下の金額の訴えに限り行える簡易的な訴訟です。

普通の裁判(通常訴訟)より金額も激安だし手続きも簡略化されており、非常に楽に短期間で行え、比較的小さめなトラブルにおいては便利です。

ですが、多少のデメリットもあるので、それを理解した上で利用を考えましょう。

 

メリット

  • 500円から行える。最大でも6000円
  • 1回の裁判(30分~1時間くらい)で決着がつく
  • 訴状も簡単な記載で済むので法律の知識なしで自分で書ける
  • すぐに取り調べが可能な物に限られる
  • 弁護士を雇わずとも一人で行える

まず500円からという安い金額で訴訟できるのが利点ですね。そして裁判も1回なので、やたらと長くなることもありません。

弁護士を雇わずとも一人で出来るので、他の費用もほとんどかからないので、全部含めてもとても安価に裁判を行えます。

 

デメリット

  • 利用回数は年に10回まで
  • 自分で相手と対峙する必要がある
  • 被告の申立てで通常訴訟に行こうすることがある
  • 紛争が複雑などの理由で、裁判所の判断で通常訴訟に移行する事がある

利用回数の1年というのは、その年の1/1~12/31までの間ということです。

少額訴訟は1回の裁判で終わるもなので、十分な審議が出来ない可能性もあります。内容が簡単ならば良いのですが。複雑な問題の場合は少額訴訟だけで終わるのは困難でしょう。

相手と自分で対峙するのを避けたいのならば、通常の民事訴訟の方が良いかもしれません。

 

少額訴訟の手数料

電卓とボールペンの斜めから撮影したアップの画像

少額訴訟の手数料は、訴えを起こして取り戻したい金額により変わります。下の表のようになります。

訴額(万円) 手数料(円)
~10 1000
~20 2000
~30 3000
~40 4000
~50 5000
~60 6000

 

少額訴訟を起こすのに必要な物

チェックリストの用紙

  • 定額訴状用紙
  • 証拠書類
  • 手数料分の収入印紙

これが必要な物となります。ケースによってはこれ以外の物が必要になる可能性もあります。簡易裁判所の相談窓口に確認しましょう。

 

証拠書類とは

通常の使用による範囲の物だと言うことを証明することになるのですが、入居した時と退去した時を比較できる物、つまり、入居時と退去時の写真が証拠になります。

これを用意するには、当然入居時や入居直後の期間のうちに写真を撮影してある必要があります。

証拠として使える物は以下があります。

  • 入居時・退去時の写真または動画
  • 賃貸借契約書
  • 敷金の預かり証
  • 部屋の間取り図
  • 補修・クリーニングなどの見積書、または請求書領収書

これらの書類は訴状を提出する時に一緒に提出します。

今の時代は写真はスマホなどで撮影した電子データになると思いますが、念のためバックアップをとっておくことも大切です。つまりコピーですね。パソコンやUSBメモリなどにコピーを作っておきます。

そうすれば万が一なくした、相手ともめて奪われたけどそれを証明できない、なんて事になってもコピーがあれば慌てる事はありません。

最後の補修・クリーニングなどの見積書・または請求書や領収書ですが、最初の段階では見積書か請求書ですし、支払いをしてしまった後にお金を取り戻す段階ならば領収書となります。

ちなみに、少額な買い物をのぞいて、何か支払いをした場合には必ず領収書をもらうことを徹底しましょう。領収書がないと、その金額をあなたが支払ったことを証明できません。「うちはそんなお金をあなたから払ってもらってませんよ」と言われたらおしまいです。

 

定額訴状用紙を入手

少額訴訟の訴状を提出するのは、大家さんの住所か、アパートの住所を管轄する簡易裁判所になります(裁判所の管轄区域)。

用紙は簡易裁判所に直接もらいに行くことも出来るし、裁判所のサイトからダウンロードもできます。

提出は直接持ち込みでも郵送でも出来ます。

手続きのやり方に関しては、相談窓口があります。遠慮なくそこに相談すると良いです。

何でもそうですが、なにか相手があるやり取り、交渉やトラブルなど何でもそうですが、相手は道徳心など無関係に、合法的な範囲で(それがグレーだとしても黒じゃなければ)使える物は何でも使って、自分の側を少しでも有利に持って行こうとします。

合法の範囲なのだからこちらもどうしようもありません。世の中は、法律的にアウトでなければ何だって使って戦わないとならない事だってあり得ます。だって合法なのですから、認められた方法です。相手も必死ですから、やれる方法は何でも使ってきますからね。合法な方法なら、こちらも何をしたっていいのです。

そもそも相手が悪質な要求をしてきてるのですから、かわいそうとかそんな感情はいりません。こちらの財産や心身の安定を奪う相手に対抗するのに遠慮は不要です。むしろ油断につながります。

ただ、友好的に付き合っている相手、会社、取引先とは、道徳心と誠意をもって接するべきですけどね。

ようは、対立構造にある相手には遠慮などいりませんよという事です。

 

少額訴訟の流れ

黒板に書かれた3つの正方形と、それ結ぶ矢印

  1. 訴状の提出
  2. 期日の連絡
  3. 答弁書の受領
  4. 証拠書類・証人の準備
  5. 裁判
  6. 判決

という流れなります。それぞれを少し説明しますね。

訴状の提出

定型訴状用紙を簡易裁判所でもらい、自分で記入してその簡易裁判所に提出します。簡単なので法律的な知識はいりません。

 

期日の連絡

訴状が受理されたら、裁判がいつ行われるのか期日の連絡が来ます。

 

答弁書の受領

被告から答弁書が届きます。答弁書とは、こちらの訴えに対しての相手の言い分が書かれたものです。

 

証拠書類・証人の準備

入居時と退去時に撮った写真などの、証拠として利用できるものを準備しておきます。証人がいるならばその方にも連絡して手はずを整えておきます。

 

裁判

裁判官から被告と原告が質問を受け、それにこたえます。ほとんどの場合は、双方の言い分を確認した上で和解が提案されます。

和解に応じるかどうかは、その内容、つまり提示された条件で考えて決めてOKです。

 

判決

審理が行われた後、判決が出ます。

 

敗訴した場合の対処

ジャッジ・ガベルのアップ

不当な請求に対する少額訴訟は勝率が高いのですが、万が一こちらに不備があったり貸主の言い分が通り判決に負けてしまう事もあり得ます。そういう時に出来ることをご紹介しておきます。

不服申し立ても出来る

少額訴訟の判決が不満な場合、判決を出した裁判所へ不服(異議)の申立てが出来ます。すると審議をやり直して貰えます。ただし、その場合の手数料はかかってしまいますので。

一方、地方裁判所へ控訴することは出来ない仕組みです。

 

分割支払いも可能

残念ながら貸主の言い分が通り少額訴訟で負けてしまい、支払いをするしかなくなった場合の話。

この場合、3年を超えない範囲で、支払いを分割にしたり猶予を持たせてもらう事が出来ます。

また、遅延損害金免除のついた判決を貰うことも出来ます。

 

まとめ

不当な請求には泣き寝入りする必要はない。断固拒否し、応じなければ少額訴訟も使いましょう。

  • 少額訴訟は500円~6000円で起こせる
  • 裁判は1回
  • 弁護士不要
  • 証拠は必要

ちなみに、少額訴訟が役に立つケースや、ご自身で出来るアパート退去時の補修方法などを記事にまとめています。

以上、今回はトラブル時に便利な少額訴訟のやり方でした。

参考:裁判所のサイト