病院の選定療養費を節約する方法まとめ

2018-09-19

選定療養費の支払いを必要最低限におさえるのが医療費の節約の1つ

医師が患者い向けて書類をペンで指しながら説明している

私たちが住む身の回りには、医療機関といっても色んな規模のものがあります。

〇〇医院などの開業医、〇〇病院と名の付くことが多い地域の病院、国公立病院やちょっと有名な大病院、大学病院など、様々です。

大病院や大学病院などは、手厚い医療人員を配備し、検査や治療の設備を備えて難しい治療や手術や入院の準備を整え、重症患者や救急医療に対応できるようになっています。

ある一定の条件の病院にかかると、通常の診療費にくわえて料金が数千円も高くなることがあります。これは選定療養費というもののためです。今回はこれについてのお話です。

 

選定療養費とは

政府広報オンラインの患者と中小病院、大病院の相関図
参照:政府広報オンライン

ある一定の条件の大きな病院を受診する際、紹介状なしだと別途料金が追加され、支払うお金が高くなるんです。それが選定療養費です。

この選定療養費をかからなくする方法があります。

町のお医者さんや通常の病院で診てもらったら、大きな病院や専門病院を紹介されて紹介状を渡された、なんて事がありますね。その紹介状を持って大病院に行った場合は選定療養費はかかりません

 

でも気になる点が1つ。紹介状にもお金がかかります。だったら同じようなもんじゃない?と思うかもしれませんが、それはノーです。

全体で見たら紹介状を書いてもらう方が安くなります。

紹介状がないという事は、紹介元からのデータや情報の提供もないという事なので、検査や診察などを再び行うことになります。紹介状があっても改めて検査をすることもありますが、ある程度のデータは持ち越せます。複数の医師の意見も集約できるので、診断の精度があがる可能性もあります。

やはり紹介状はあった方が良いんですよ。

紹介状をもらう方法は、医師が他の病院で診察や検査をしてもらう必要があると判断した場合だけでなく、患者がそれを希望した場合も書いてもらえます。なので、今診てもらっている医師にしばらくかかっているが改善がない。もっと専門的な検査をしてもらった方が良いのでは?という場合は、医師に相談すると良いでしょう。

紹介状なく、自分の意思で大病院に行った場合にかかるのが選定療養費です。

選定療養費がかかる病院はちゃんと決まっています。

 

選定療養費がかかるのはどんな病院?

以下の2種類の病院です。

  • 特定機能病院
  • 一般病床の数が500床以上の地域医療支援病院

基本的に大病院だけですね。町のお医者さんなどはかかる事はありません。

では、「特定機能病院」「地域医療支援病院」とはなんでしょうか。

 

特定機能病院とは

特定機能病院とは、高度な医療の提供・開発・研修を実施する能力などを備えた病院のことです。物凄く簡単にいうと、「かなり高度な医療体制を整えた大病院で研究や研修も行っている所」という感じです。日本では85病院くらいですが、その多くは大学病院です。

簡単にいうと、

  • お医者さんがいっぱいいて
  • 薬剤師、看護師もいっぱいいて
  • 400床以上のベッドがあり
  • 定められた16の診療科を掲げていて
  • 管理栄養士がいて
  • ICU(集中治療室)・無菌病室・医薬品情報管理室があり
  • 英語の論文数が年70件以上あり

などなど。これよりも多くの色んな条件をクリアした病院だけが承認される物で、かなり高度な病院だけです。

てゆうか、最後の英語の論文数が年70件以上って・・・。普通の病院は無理ですよね(汗)。かなりの研究機関を兼ねた病院という事になるので、基本的に大学病院が主になるのも当然です。まあこれは特定機能病院のこと。

選定療養費がかかる病院はこれだけではないので、1つの県にもっとたくさんあります。

 

東京や大阪など、大都市圏では複数ありますが、地方の県によっては1つしかない所も多いです。

厚生労働省の特定機能病院一覧をご参考に。

 

地域医療支援病院とは

紹介患者に対する医療提供や、医療機器などの共同利用を行い、地域のかかりつけ医を支援する能力があり、地域医療の確保を図る病院としてふさわしい構造設備などがある病院として、都道府県知事が個別に承認している病院です。

もっと具体的かつ簡単に言うと、

  • 国・都道府県・市町村・社会医療法人・医療法人が開設
  • 紹介患者中心の医療
  • 救急医療を提供できる
  • 建物、設備、機器などを地域の医師などが利用できる
  • 地域医療従事者に研修を行っている
  • 200床以上のベッドやその他設備が整っている

などです。

特定機能病院の4、5倍くらいの数が存在します。

余談ですが、選定療養費を支払うのが構わなくても、そもそも紹介状がないと受診出来ない病院もあります。同じ病院でも診療科によって紹介状なしでは受診不可、紹介状なしでも選定療養費を払えばOKの診療科があったりもします。

 

選定療養費の金額は

  • 初診:5000円(歯科は3000円)
  • 再診:2500円(歯科は1500円)

この金額を追加で支払うことになります。歯科は普通の医科より安いというのが面白いですね。何で差を設けているのか不思議です。

ちなみに再診というのは、他の医療機関への逆紹介を受けたにもかかわらず、患者の意思で再度同じ大病院を受診する場合です。

逆紹介というのは、紹介を受けて大病院を受診したけど、症状がよくなったから今後は他の医療機関で経過観察で良いですよ、などといった場合に、大病院から地域のかかりつけいに紹介状を書かれた場合です。

政府広報オンラインの、紹介と逆紹介を表したイラスト
参照:政府広報オンライン

 

表にまとめておきます。

医科(歯科以外)歯科
初診5000円以上3000円以上
再診2500円以上1500円以上

というように結構な金額となっています。

 

選定療養費がかからないケース

上記の選定療養費が必要な病院を紹介状なしで受診したにもかかわらず、選定療養費がかからないケースがあります。

それは救急でかかった場合です。

これ以外にも複数のケースがあるのですが、一般的な物としてはこの救急でかかった場合だけです。

なので、救急でかかる場合は選定療養費はかからないと覚えておくと良いでしょう。

 

余計な選定療養費を節約するために

私は若い頃から複数病気にかかった経験があり、医師や医療機関と接する機会が普通の人より非常に多くありました。その中で色々な思いをしてきました。そんな私が考える、選定療養費の節約の具体的な方法は以下です。

  • 無駄に大病院に行かない(心配しすぎない)
  • かかりつけ医を見つける
  • 良い病院を見極める

 

選定療養費を支払うのは他でもない私たち自身です。

紹介状なしで前述の大病院にかかった場合は選定療養費を払う事になるのですから、大病院に行く必要のない時に行かないようにすることが選定療養費の節約となります。

もちろん、心配が残るならばちゃんと検査を受けた方がよいです。大事に至っては元も子もありません。気になることは医師に勇気を持って質問し、「心配なので検査をした方が良いのではないか」と聞いてみることは大切です。

そこまで深刻でない場合は、かかりつけ医を見つけておいて、いつもそこで診てもらうようにすれば、先生とのコミュニケーションも取りやすいし、今まで診てもらったカルテや検査のデータもあるので安心です。

ちなみに、こういうデータはかかりつけ医と紹介先の大病院で共有されます。

この、かかりつけ医の良い先生を見つけておくことが健康において重要です。

近所の開業医ならどこでも良いわけではなく、

  • 患者の気持ちになって診察してくれるか
  • こちらの不安を聞いてくれるか
  • 質問にちゃんと答えてくれるか

などが重要です。

もちろん、医師としての診断能力が大切なのは言うまでもありません。こういう医師を見抜くこちら患者側の判断力も必要になってくるわけです。飲食店などでも同じですね。美味しくて接客サービスの良いお店かどうかはそのお店によりけり。結局は行ってみないとわかりません。

繰り返しますが、これは本当に重要です。

良いかかりつけ医ならば、当院で出来る範囲を超えていると思えば、大病院へすぐ紹介してくれる筈です。

先ほども申したように、私は若い頃から医師と接して来た回数が一般的な人より格段に多いです。そんな中で身に染みたのが、提供される医療サービスの質が医師によってまるで違うという事です。

診断の能力もそうだし、患者に接する態度もそう。医療機関としての姿勢などもかかわってきます。

そして、ある程度複数の診療科のかかりつけ医を見つけておく必要もあります。内科、耳鼻科、整形外科、皮膚科では全く専門が異なります。耳や鼻の不調を整形外科の先生が診ることは出来ませんからね。

 

選定療養費を節約する方法まとめ

  • やたらと大病院に行かない
  • かかりつけ医を見つけておく

かんたんに言うとこの2つになります。

その結果得られる効果は、

  • 選定療養費の節約
  • 検査費用の重複を防ぐ
  • 最適な治療の道筋

となり、選定療養費以外の費用の節約にもつながるのです。

優秀なかかりつけ医の発見と、優秀な大病院の情報を知ることが、長い目で見たあなたや家族の健康と人生に影響する重要な要素です。

 

参考資料

厚生労働省 特定機能病院について

政府広報オンライン

厚生労働省 地域医療支援病院について